衰退する日本はオンラインギャンブルという急成長市場に参入できるのか?

インターネットとギャンブルの組み合わせであるネットギャンブルはあまりにも魅力が強く、ほとんど危険すぎるレベルといってもいい。

胴元側もプレイヤー側も、そのオンラインギャンブルの持つ途方もない魅力には完全にヤラれてしまっている状態だ。

そして、その途方もない魅力と表裏一体である「危険」に対しては、日本政府はほとんど本能レベルでの驚異を感じているようで、過剰すぎる警戒の手を緩めることはない。

オンラインギャンブルというギャンブルの最新形態は明らかな急成長市場であり、ギャンブラーだけでなく、トレーダーなどの投資家や、大企業、ひいては国家からの注目も熱い。

だが、ネットギャンブルへの恐怖が強すぎるあまり、経済の今後を左右する可能性もあるこの急成長市場への日本政府の拒絶はかたくなになる一方である。

重税につぐ重税で国民を生活苦に叩き落しているためにオンラインギャンブルという急成長市場を無視するほかない日本政府のトータルでの愚策っぷりは明白だ。日本が衰退国家でなければ、このオンラインギャンブルという巨大市場に積極的にコミットすることも可能だったかもしれない。

日本政府の無視は得策ではない。しかし、無視するしかない状況が日本にあることも確かだ。こういった込み入った事情を考えていくにあたって、まずはオンラインギャンブルの現在の世界的な市場価値を説いていくことにしよう。

600億ドルを超える市場規模が今後さらに大きくなることが予想される

600億ドルを超える市場規模が今後さらに大きくなることが予想される

オンラインギャンブルの市場規模は2023年の段階で600億ドル以上にまで拡大しており、2024年以降もこのモンスター級の市場規模はさらに大きくなることが予想されている。

ネットギャンブルの需要の爆発的な増加のきっかけとしてはコロナ渦の影響も挙げられるだろうが、コロナ渦が過ぎた現在でも市場規模が大きくなり続けていることの背景としては「オンラインギャンブルの完全な定着」という決定打があるだろう。

オンラインギャンブルというギャンブルの最新形態は、コロナ渦であろうとそうでなかろうともはや関係なく、コンテンツそれ自体の魅力によって多くのユーザーを獲得する自律的な好回転の段階に入っているということだ。

パチンコ的な考え方で例えるならば、オンラインギャンブルの市場価値に関しては「確変後のRUSH」の状態に入った、といえるのではないだろうか。

コロナ渦というきっかけはあくまで「最初の当たり」であったのだが、そのあとの「連続する当たり」が現在まで続いているために市場規模が拡大している。これが、ネットギャンブルという市場価値の現状と考えられるだろう。

そしてこの「当たり」の継続に関しては、まだまだ終わりが見えない。

この流れに乗り遅れたら、市場価値の拡大から得られる利益を逃すことになるというような分水嶺的なタイミングであるともいえる。やはり、日本政府がこのタイミングを逃してネットギャンブルを拒絶をしているという状況は、得策とはいえないだろう。

アジア地域は今後の市場価値の拡大のカギを握っている

オンラインギャンブルの市場価値の拡大に関しては、今後は、日本も例外ではなくその範囲に含まれている「アジア地域」のシェアをどれほど広げられるかにかかっている。

オンラインギャンブルの現在の主要な市場はヨーロッパである。とりわけ、ドイツやイギリスなどはオンラインギャンブルに対して有利な規制がとられており、国家側がオンラインギャンブルの市場価値を理解したうえでの積極的な政策がとられている。

ヨーロッパからはやや遅れる形にはなっているものの、当然ながら、経済戦略に目ざといアメリカがこの拡大する市場価値のパイを見逃すはずがない。

2023年は、2022年までのヨーロッパの市場規模に追いつかんとする勢いでの、ネットギャンブルのアメリカでの市場規模の拡大が、目立った出来事として記憶される年になったのではないだろうか。

アジア地域は、現在ではまだヨーロッパやアメリカほどのオンラインギャンブルの市場を獲得していないというのが現状である。国家が身を乗り出して先鞭をつけているのはインドくらいしか見当たらず、全体的に出遅れている印象がどうしてもぬぐえない。

だが、リアルのギャンブルであるラスベガスのカジノなどで中国製スロットが増えていることなどから見えてくる「国家としての中国の勢い」を考えると、中国のちょっとした動向次第ではオンラインギャンブルの市場が完全にアジア地域に独占され、勢力図が塗り替えられるということは十分に考えられる。

世界情勢と同じく、中国という破格の超大国の動向は、ヨーロッパ、アメリカというような帝国主義的西洋にとっては不気味な脅威であり、つねに警戒の対象であるはずだ。

前述したように、日本はこういった「世界市場」のシェア獲得に参加することそれ自体から降りてしまっているし、今後も参入する気配はまったくみえない。また、参入するための力もない。

オンラインギャンブルをめぐる市場経済のプレイヤーからすると、日本という国はほとんど箸にも棒にも掛からぬモブでしかないといったところだろう。嘆かわしい現実ではあるがこの現実は受け入れるほかない。

とはいえ、日本はギャンブル大国の一つでもあるため、国家政策としての市場への参入は期待できなくても、「プレイヤーからの需要」という観点においては、かすかに市場規模にコミットしているパイの一部であるのも一方では事実である。

日本人向けの違法オンラインカジノなどが違法でありつつも新設されている状況が続いているのは、「ネットギャンブルで遊びたい」と考えている日本人ユーザーからの投資に対して潜在的な市場価値があることを、市場の参加者から見抜かれていることを意味しているのではないだろうか。

日本は市場に参加する以前の問題である貧困を解決しなければならない

そもそも、日本に関してはオンラインギャンブルの市場に参加するまえに、深刻化を極めている国民の貧困をまずは解決する必要があるだろう。

オンラインギャンブルの市場は、プレイヤーからの賭け金の投資がなければ活性化することができない。国民の経済的な豊かさに応じて獲得できる市場規模が変動していくというところが、ネットギャンブルの難しいところでもあり、ユニークな点でもある。

国民の経済力が低く貧しい国家である場合、いくら国家の政策としてオンラインギャンブルの市場に参入したところで、焼け石に水でしかない微々たる影響しか市場に与えることができないだろう。

拡大する市場であるオンラインギャンブルを拒絶しているということも問題点ではあるものの、日本に関してはそれ以前の根本的な問題がより大きい。

やはり、やりすぎでしかない増税などの悪辣な搾取によって国民全体の生活が苦しめられているという現状をどうにかして、国民全体の生活水準をあげていかない限り、日本では何も始めることはできないだろう。

大企業だけに配慮し大多数の労働者の実質賃金を下げて消費を冷え込ませ、中小企業を追い詰めて都市圏と地方の格差を拡大させる原因にしかならなかったアベノミクスという戦後最大の失策に対する全面的な反省と批判を行わない限り、日本はオンラインギャンブルという市場に参加する資格すら獲得することができない。

だが、自民党議員の裏金問題における不起訴などの腐敗でも顕著なように、現在の自民党中心の政治は「国民を虐げる」という方向で最後の搾取をする、ある種の「開き直り」のターンに入っている。

国民の政治権力に対する無力感を非人道的なルール違反で煽りながら、骨の髄まで国民から金を奪い取りとどめをさす動きしか見えない状態では、アベノミクスへの反省や批判など飛び出すはずもなく、今後も、国家の衰退と国民の貧困はさらに加速度的に進行していくことだけが予想される。

オンラインギャンブルという世界市場に参入するためには、まずは日本は足元から体勢を立て直す必要があるのだ。

国民が貧しいままネットギャンブルの市場に参加する可能性もゼロではない

現在の日本が、日本国民が依然として貧しいままでありながらネットギャンブルの市場に参加していくという可能性も、もちろんゼロではないだろう。

市場の検証で明らかなように、現在の日本にはオンラインギャンブルという世界市場に参加するための経済力が決定的に足りていないのだが、これも「貧しい人間を切り捨てる」というある種の棄民政策を採用するならば、無理を通した参入は可能である。

現状で仮に日本がオンラインギャンブルの市場に参加することを考えた場合、ギャンブル依存症を増やし、自身の経済力以上の賭け金を賭けて破滅していく人間を多数作り出す方向性によってのみ、シェアを拡大していかなければならない。

現在、日本は「カジノ誘致」というリアルギャンブルに関する政策を進行中であるが、これなどは、貧乏人でしかない国民を捨てることを通して、一部の企業と利権の持ち主だけが利益を得て責任をとらないという焼き畑的な政策であり、棄民の一つのあらわれである。

棄民政策とセットになったギャンブルへの姿勢や、「国民からはいくらでも税金をむしりとってもよい」というあけすけな態度を考えると、日本政府が今後積極的にオンラインギャンブルという市場に参加することは、大いに考えられるだろう。

私個人としてはそのような形でのオンラインギャンブル市場への参与には賛成できないが、このように、オンラインギャンブルという市場を通して「草木一本残らない」という選択肢だけがある苦い現状を認識できるのは興味深い。

オンラインギャンブルという興味深い市場から見えてくるもの

オンラインギャンブルという興味深い市場から見えてくるもの

いまやオンラインギャンブルの世界市場では支配的なパイを獲得しているドイツも、一時期は現在の日本ほどではないものの生産性に欠ける「危機」の国であった。

そんな国が経済力を獲得しオンラインギャンブルの市場で強者としてふるまえているのだから、我々の衰退国家でも、そういった明るい未来を少しくらいは期待したいものだ。

このサイトでは、今回のように「オンラインギャンブル」という極めて興味深い市場をサンプルにして考えたことをまとめていく予定である。

オンラインギャンブルは人の欲望がダイレクトに反映されているために大変面白く、また、経済学部卒の私自身の趣味がギャンブルであるという個人的な事情も重なって、オンラインギャンブルの市場がサンプルとして採用された次第である。

世界市場などというと規模が大きすぎる話ではあるが、そういった世界市場の動きが我々の日常には確実に影響している。

日常から大きな世界をのぞき見る一方で、大きな世界での出来事を通して日常を改めて発見し考察しなおしていく。こういった考察の往復を、新米トレーダー兼ギャンブラーという極小の庶民の観点から、コツコツとやっていければと考えている。

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